1年ぐらい経った頃の修羅場。
1棟4世帯の小さなアパートで
友達とふたりで暮らしてたんだが
その友達が5月病が酷くて
会社を辞めて地元に戻ることになった。
家賃折半のつもりが一人暮らしになって、
今後どうするか悩んだが
生まれて初めての一人暮らしは案外快適で、
このままでいいかなと思い始めていた頃の出来事。
ちなみに友達のご両親から
3ヶ月分家賃相当の現金を
迷惑料として渡されていた。
もし引っ越すなら
これを引っ越し代に充ててくださいって。
アパートのお隣さんとは、
付き合うってほどじゃないけど
奥さんがとても感じが良くて、
小さいお子さんが2人とも可愛らしくて
最初は挨拶だけだったけど、
徐々に少しだけど話をするようになっていた。
会社でもらったオヤツを
持って帰った時に(甘いものが苦手なので)
バッタリ会えば
お子さんにあげると喜んでくれたりして。
奥さんからも、
1枚しかないからって
映画の招待券貰ったりとか。
旦那さん(以下A)とも顔を合わすことが
あって「いつもすみません」なんて言われて
本当に感じのいい一家だなぁって思ってた。
当時は本当に理想の家族だなって思ってたのね。
ある日、会社の忘年会で
二次会まで参加して帰りが遅くなった。
アルコールアレルギーなので飲んではいない。
電車内はみんなスマホに夢中だったり
居眠りしてて、
私もずっとスマホ見てたんだけど
何気に顔を上げて車内を眺めたら
少し離れた所にAがいた。
しかもA、隣で寝てる酔っぱらいの
胸元から
長財布を抜き取る瞬間だった。
そして抜き取った財布を
自分の胸元に入れる時に私と目が合った。
向こうは今の今まで
私に気付いていなかったらしい。
いつも通りの穏やかな笑顔で
軽く会釈されて、
私引きつってしまった。
あとから思えば、
あの会釈は見てたかどうか
確認の意味があったんだろう。
そして私の表情は明らかに
見ていたことを示すものだった。
駅に着いて降りようとしたら、
Aは財布を酔っぱらいの横に
置いて降りて行った。
たぶん見られたからだろうと思う。
私も降りざるをえなかったんだが、
Aは先に降りたのに
わざとらしくポケットをさぐりながら
階段を上がる私の真後ろを上がってきた。
そして
「私さんは確か一人暮らしだったねぇ」って
一言だけ言って追い抜いて行った。
私、足がガクガク震えて
怖くて怖くて、
まだバスがある時間だったけど
Aと同じバスになるのが怖くて
駅からタクシーで帰った。
その日からAと何度か
アパート近くでバッタリ会ったが
それまでの穏やかな笑みではなく、
意味を持たせた気なニヤリとした感じに見えて
やっぱり引っ越すことにした。
「私さんは確か一人暮らしだったねぇ」の
言葉の意味を考えると
怖くて怖くてノイローゼになりそうだった。
友達のご両親からもらったお金が
涙が出るほど有難かった。
怖いね、
通報したら夜に襲われそうな感じ
早くその人も現行犯で
逮捕されて罪を償って欲しいね
ともかく逃げられて良かったよ
乙でした
こっっっわ
無事に逃げられて良かったね
恐ろしい…
無事に逃げ切れてよかった
引用元: ・今までにあった修羅場を語れ【その28】