お寺の庭園を散歩した。
俺のほかにも修学旅行生とか
カメラマンとかいろいろいた。
俺は数人の他の観光客とあるいてたら、
いきなり寺の中を撮影していたカメラマンが
「とまれーっ!」と
叫んでこちらを睨みつけた。
俺は「え?」と即座には認識できなくて
さらに数歩あるいたら、
「とまれ!」「と・ま・れ」「とっ・まっ・れっ」
と叫びながら睨む。
わけがわからず、止まると中を撮影し、
撮影がおわるとカメラマンとアシスタントは
さっさと移動し、
別の方向にカメラを向け撮影はじめた。。
俺の髪の毛は逆立った。
そのカメラマンは非常に若く、
色は浅黒く、身長は175センチくらい。
痩せ型。
その横に、
先輩らしき人物がいて手伝っている。
俺は、彼等に近づき、
一体どこの会社の人間か、
あなたたちの行為は無礼ではないか
という旨を問うた。
先輩は、
「やべえ・・・、へんなの気やがった」
という顔でこちらを見ていたが
静かな口調ながら、
怒りで震えてこのままでは済まさない決意の
俺に気づき、
「すみません」と言った。
しかし、若いカメラマンは、
「俺は、止まれといっただけだ。
仕事だから仕方ないだろう」
といって、
カメラのレンズに目を戻した。
俺はカメラのレンズを覗き込んでいる
若いカメラマンの横にたった。
「『止まれ』じゃなく、
『止まって下さい』だろ!?
あんなたの仕事に観光客が協力するのは
好意であって義務ではない。
無礼ではないか!」
と、耳元で叫んだ。
先輩の方は、小声で、
「すいません」と俺にいうが、
先ほどから聞いている会社名も言わなければ、
若い方に謝るように促しもしない。
俺は、カメラのレンズの前に
手のひらをおき、
無視する若いカメラマンの仕事を
中断させた。
しかし、若いカメラマンは、
カメラをのぞき続ける。
見ると、怒りか恐怖か知らないが、
体が小刻みに震えている。
俺は、追及を続けた。
耳元で続けた。
会社はどこだ?
だれの許可で観光客を怒鳴りつける?
彼らは、言わない。
若いカメラマンは謝らない。
俺は「分かりました」
といって、
携帯電話で寺社を管理している
事務所に電話をかけた。
カメラマンが観光を妨害している、
暴言で観光客を脅している、と。
どこの会社ですかね。
いますぐ止めさせてください、と。
若いカメラマンは呆然と俺を見て、
先輩の方は、蒼白になった。
俺は撮影許可を受けた会社の名前と
電話番号をその場で聞いた。
そして、
私からも抗議するが、
そちらからも抗議してください。
そうしないことには、
こちらも法的措置をとります、と、言った。
「いますぐ、抗議してください!
警察を呼びます!」と事務所を脅し、
私の携帯番号をしらせ、
会社側から私の携帯にすぐにかけるように伝えた。
俺は、
「今日は、これから大仕事になります。
一日付き合ってもらいます。
私は納得するまで、止めません」
と言った。
すぐに庭園に寺の事務所の所員が
駆け込んできて、事情を再度聞いた。
呆然とする若いカメラマンの横で、
俺は自分が「脅迫にあった」
と大いに誇張した。
会社からも電話がきた。
俺は彼等の撮影の即時中止と退去、
謝罪を求めた。
それ以上なにもする意志はないと。
周囲には、自由時間できている
修学旅行生たちもたくさんいて、
シンと静まり返ってこちらを見ている。
なぜ会社名を言わない、
仕事ならなにやってもいいのか、
このままでは絶対にすまさない、
と俺は低い声で、
繰り返し、しつこく、続けた。
そこに、
会社の上司らしき男がきた。
かれは最初は、少し柄が悪く、
身長の低い俺を見下ろしながら
やれやれ顔だったが、
俺の静かに震える俺にヤバイものを感じ、
また事情を聞いて下でになりはじめ、
とにかく謝罪するようにカメラマンにうながした。
「・・・すいま・・せん・・」
と、若いカメラマンが
カの鳴くような声でつぶやいた。
もちろん、そんな謝罪では許さない。
「なぜ、悪いか言ってみろ」
と俺は静かに問うた。
「なぜ、悪いと思ったか言ってみろ、
と聞いている。
さあ、あなたはなぜ、悪かったの?」
俺は、しつこい。
寺の所員は、「まあ、まあ」って
言う顔で困っている。
若いカメラマンは、
ぐっ・・としてどうしていいか分からないでいる。
俺は、
「何が悪いか分からずに謝るつもりですか?」と
いいこういう会話をした。
俺「あなたは何?何してたの?」
カメラマン「写真とっていました、仕事で・・・」
俺「その仕事は私に何の関係があるの?
あなたからお金もらってる?」
カメラマン「いいえ、あの、すいません。」
俺「あなたの仕事を邪魔するのは
観光客といえどもおかしいよね。
でもあなたの仕事に協力する義務は無いし、
まして『暴言』で『脅迫』されるいわれはないね」
カメラマン「はい・・・」
俺は、「さあ、じゃあ、
これまでの言葉を続けてみて」と言った。
カメラマンは、
「あの、・・・俺は、
何の関係もないあなたに対して、
・・・いきなり自分の都合で、・・・」
俺は「自分の都合で?何?」
カメラマン「えっと・・・」
俺「怒鳴りつけただろう?」
カメラマン「怒鳴りつけて、
・・歩行を止めさせても、謝りもせずに・・・
あの、すみません・・・」
俺は、少しにやけたヤクザ顔の
カメラマンの上司に、
「社員教育くらいキチンとしなさい」と、いい、
カメラマンには、
「今度から気をつけるように」いい、
カメラマンの先輩には
「あなた、本当に後輩教育もできないんですね」といい、
寺の事務所員には、もう結構ですよ、といい、
解散をうながした。
俺自身は、すぐ横のイスに腰掛け、
じっと彼等を見た。
彼らは俺がそこにいる以上もう撮影は出来ない。
俺に、深深と頭を下げ、
その庭園から出て行った。
彼等には、損失の大きい一日だっただろう。
その無礼なカメラマンは非常に怒られただろう。
カメラを除くたびに思い出すだろう。
しかし、カメラマンは、
そのくらいの薬を受けたほうがいいのだと思う。
今後のために。
最初の方はグッジョブと思っていたが
そこまでやるとあんたもそこそこDQNだな。
でも、気持ちは分かるよ。
暴力を振るえばDQN認定やむなしだが、
まったく反省せず謝罪の言葉もないヤシには
「いい薬」になったのでは?
このくらいお灸を据えなきゃ!
それだけ大声だせるんなら
「今から撮影しますからすみませんが止まってください」って
周りに呼びかければ良かったのにな。
そう思うんだ。
観光客なら、何してもいいはずはないし、
まして、他人の仕事邪魔するなんておかしい。
わざわざ、カメラの前に
妨害するようなこともせずに、
普通はすっとよけて歩くよね。
でも、それって、
あくまでも社会人としての好意でしょ。
ADの態度は非常に低姿勢だな。
低姿勢だけど、強硬にとうせんぼする。
絶対に通してくれない。
文句を言うと丁重に謝るけど、道は譲らない。
俺は一度、芝浦で無理矢理突き抜けたけどな。
あちらも仕事だったろうけど
こちらも仕事だったし(w
「仕事だから、仕方ないだろ!」っていうんだよね。
「そりゃ、あんたの仕事だろう」って思う。
もちろん、わざわざ邪魔する気は無いし、
丁寧に頼まれれば協力もし得る。
でも、DQNに対しては、
こちらも「DQN的」覚悟で望まないと、
一方的に好き勝手が通る。
許されると思ってるからな。
自分たちは特別な存在って思ってる節が
ありあり。