当事者(全て日本人留学生)
A子、浮男(A子彼氏)、浮子
突入隊(全て日本人留学生)
録画子(A子友人)、録音男(録画子彼氏)、
私(録画子友人・A子とは顔見知り程度)
ある日、録画子が浮気の現場をおさえるから
通訳として来てくれと打診してきた。
録画子友人のA子は、
録画子を通じて知りあった浮男と同棲中。
このところ、
A子が一日中授業がある日に大学から帰ると、
部屋の中がどうもおかしいのだという。
知らない香水の香りがしたり、
その反対に生臭い匂いがしたり、
妙に掃除が行き届いていたり。
そのため、録画子が
彼氏の録音男と突入をこころみる予定なのだが、
あいにくA子も録画子も録音男も現地語は苦手。
いざという時のために通訳が必要とのこと。
当日、
授業を休んだA子、
機材を持った録画子、
録音男、私はA子の部屋に向かった。
廊下までギシアンが聞こえている。
A子はかえって
肝が据わってしまったようだった。
A子が鍵を開け、
録音男、録画子がなだれこんだ。
私が入ると、録音男が、
浮子のかばんをあさり、
パスポートと学生証をとりだした。
打ち合わせ通り、
私はそのままコピーセンターへ。
コピーから帰ってみると、
階段を上っているうちからすでにうるさい。
(ドア閉めていったのに。
少し静かにしろって言わなきゃな)
と思いながらも急いでいると、
A子の隣の部屋の扉がひらいて、
隣人子(現地の人)が私に声をかけた。
隣人子「あの、隣、何が起こってるんでしょう?
警察呼びますか?」
私 「すみません、
今、浮気の現場をおさえてるんです。
警察はよばなくてかまいません。
お騒がせして申し訳ありません。
もうすぐ終わると思いますので。」
隣人子「浮気って?」
私 「男のほうが女をつれこんでいまして、
女性のほうが友人を呼んだのです。」
それを聞くなり、
隣人子が浮気現場に乱入。
細い女性とはいえ、180cm越えの人を
止めることは私にはできなかった。
隣人子は
「あんたの彼女はいつも挨拶をしてくれて
とっても良い子だっていうのに、
あんたは何で恋人を裏切ったりするんだ!!!」
らしきことをわめいているのだが、
訛りがきつくてよく分からない。
さっきは標準語だったのに。
浮男は壁に張り付いて顔面蒼白、
浮子は何故か他人顔。
それにまた激昂する隣人子。
隣人子をなだめるのはとても大変だったが、
なんとかやり遂げ、浮男と浮子を帰した。
夕飯は隣人子がつくってくれた。
標準語に戻った隣人子によると、
週に1回の浮男のギシアン音はとてもうるさく、
隣人子は大家に文句を言おうと、
うるさかった日と時間を書き留めていたそうだ。
それでもA子が現地語が
つたないなりに親切にしてくれるので、
文句をいうのをためらっていたそうだ。
隣人子のメモのおかげで
浮気が継続したものだというのが分かった。
次の日、録画子、録音男、
私でA子の指導教授の秘書に会いに行った。
A子の欠席理由を説明するという名目で
行ったのだが、
A子の指導教授を通じて
浮男と浮子の指導教授まで話が回ったらしかった。
学生ビザの延長には、
教授がサインした在学証明書が必要なのだが、
浮男と浮子はそのサインがもらえず、
日本に帰っていったそうだ。
乙です。
引用元: ・◇修羅場◇part63