以前に体験した服装規定でやばかった話。
広告代理店からの依頼で、
私立中高のパンフレット作りの仕事をしていたことがある。
その一環で、
とある私立中学の林間学校に同行することになった。
広告代理店では
「クライアント(学校側)に失礼のないように」と
服装規定が厳しく定められていて
男女ともスーツ着用で男性は革靴、
女性はヒール3cm以上のパンプス必須。
ビジネスバッグについても、
布製やショルダーバッグは禁止とされている。
当然、林間学校にもその服装で
同行するようにと、
事前に広告代理店から通達があった。
宿舎となる山荘までの道は
まだ大丈夫だったが、
2日目に予定されていた「散策」というのが完全に登山。
生徒や教員は、
そのつもりでジャージやナップザックを
用意してきていた。
そこにスーツとビジネスバッグというスタイルで
同行する広告代理店男性社員と私。
ちなみに広告代理店側のカメラマンも
同行していたが、
「撮影は肉体労働だから」という理由で
以前から服装規定は適用されていないため、
林間学校もジーンズにスニーカーで来ていた。
それでも撮影機材を持って
登山するとは思っていなかったらしく、
困惑するカメラマン。
とにかく覚悟を決めて、
生徒達と一緒に山を登り始めたが、
パンプスではやはり無理があった。
足下が安定しないし、
気をつけないと滑るし、
手持ちのビジネスバッグが邪魔で手も使えない。
次第に集団から遅れ始める私。
それを見咎めて
「まじめに働かないと契約を切る」と脅す代理店社員。
ところが、
私を叱責していた代理店社員が足を滑らせて、
登山道脇の林の中へと滑落した。
その時こともあろうに
私のビジネスバッグをつかんだものだから、
引っ張られた私も一緒に滑落。
なんとか斜面の木に引っかかって
命だけは助かったものの、
スカートにストッキング着用だった私は
脛にひどい裂傷を負ってしまった。
パンプスも片方が脱げてしまい、
財布など貴重品の入ったビジネスバッグと一緒に
谷底の沢まで落ちてしまったらしく、
回収はほぼ不可能という状態。
対する男性社員は、
ズボン着用のせいかほぼ無傷。
彼のバッグも山道に放り出されていて無事だった。
その後、
私は先生方や生徒さんの手によって
病院に運び込まれ、
仕事もリタイアすることに。
しかし、一文無しのために
治療費や帰りの旅費を工面できず、
カメラマンさんからお金を借りて帰宅。
もちろん仕事の報酬は手に入らないばかりか、
社員が代理店にどう報告したものやら、
代理店側から始末書と
膨大な違約金を請求されることとなってしまった。
違約金についてはかなり抗弁したものの、
滑落現場を見ていたのが
カメラマンさんしかおらず、
代理店の仕事を切られることを恐れて
証言の協力を得られなかったため、
支払わざるを得なかった。
つまらない服装規定のせいで
命の危険に晒されたばかりか、
貧乏生活を強いられることになって、
一時は本当に仕事が嫌になった。
でも他にできることもないので、
今でも続けているけど。
これで終わり。
読んでくれた人、ありがとう。
引用元: ・今までにあった最大の修羅場を語るスレ9