社会人・学生混合の文学サークルに入っていた。
自分の読んだ本の評論を発表したり、
それを一冊にまとめて即売会で売ったりが活動内容。
その中に社会人男性のAさんがいた。
Aさんは自称・毒舌&辛口批評家。
でも毒舌も辛口も、
的を射てないとただの悪口になるから
素人批評家は難しい。
Aさんはお察しの通り、
的外れな悪口を連発するのを
「辛口批評」だと思ってるタイプだった。
私が誉めた本は特に酷評されたので、
感性が正反対の人だなーと思っていた。
あるときBさん
(十歳くらい年上の女性)に
「Aさんをどう思う?」と訊かれ、
上記のことを正直に答えた。
その後、別に何もなかったから
そのことはずっと忘れてた。
就職したら忙しくてサークルに
行く暇がなくなり、
退会してAさんとの付き合いも切れた。
それから十年以上経ち、
結婚し、会社で
中堅になってちょっと余裕ができたから
同じ系統のサークルに入り直した。
そしたら前のサークルで一緒だった
Bさんと再会。
「今だから話すけど~」と
打ち明けられた話が以下。
Aさんはなぜか私と付き合ってると
思っていたらしい。事実無根。
私が誉めた本を酷評しまくっていたのは
「調子にのらせないため」だったそうだ。
「女の言うことをハイハイ黙って
聞くような男だと思ったら大間違いだ」
というとこを見せるため、だって。
部長は何か変だと思い、
Bさんに頼んで私に
「Aさんをどう思う?」と訊かせた。
結果は上記のとおり。
部長はAさんに
「本当に付きあっている?
何回デートした?お互い告白したか?」と訊いた。
Aさんの答えは
・二人きりで会ったことはないが、お互い気持ちは通じ合ってる
・告白なんて不要。いちいち言葉にするような無粋な仲じゃない
・電話番号知らない。メアド知らない。知らなくても恋はできる
・男女の仲は、きみたちが言うような定型じゃくくれない
という返事だったので、
部長たちは
「ヤバイ!これほっといたら
サークルから犯罪者が出るかも!」とあせり
古参メンバーでAさんを
繰り返し懇々と諭し、
私に近づけないようにし
Aさんが理解するまで
何カ月もかけてくれたそうな。
さいわいAさんは悪意があったわけじゃなく、
本当に
「チョイ悪で毒舌がモテる」
「若い女性ほどチョイ悪な年上男にメロメロ」
と思っていたらしく
「え…俺がやってたことって駄目だった?」
と気づいたら引いてくれたらしい。
Bさんに
「今だから笑い話にできるけどね~」
と言われ、
全然知らなかったからびっくりだった。
特に被害なかったけど、
一歩間違ったら勘助ってやつになってたのでは…と思った
Aさん以外のサークルメンバーが
とてもまともで優しくて、
かつ、根気強い人達で救われたね。
あなたはもちろんのこと、
Aさんも。
良かった、良かった。
うわぁ…
世間知って大事ダナー
引用元: ・その神経がわからん!その58