水が出てこなかった。
洗面台が壊れたのかと思って
台所とかお風呂とかの蛇口を捻っても
水は出なくて、
断水のお知らせとかもなかったし
水道料金引き落としじゃなくて振り込みにしてたから
払い忘れた!?って
一瞬パニックになりかけたけど
いや払ってるわ!
なんならこないだ払ったわ!
と思い出して水道局に電話を掛けた。
住所と名前と状況を説明すると
「▲▲にお住まいの●●様……
はい、確かに料金はお支払いただいてますし、
こちらで水の供給を停止した記録もありませんね。
あとは考えられるとしたら、
イタズラ等で水道の元栓を
絞められてしまったのかもしれません。
ご自分でご確認いただけますか?」
と言われたので電話を繋いだまま外に出た。
電話口の局員さんの説明通りに、
自分の住んでるアパートの前にあった水道の元栓の蓋を開け、
自分の部屋のものかどうか書かれていた番号を確認して
指示された方向に回したんだけど、
水道の元栓てかなり固いので女一人、
しかも電話をかけながらでは手こずって結構時間がかかってしまった。
私が住んでる部屋は2階の203号室だったんだけど、
水道の元栓って地面にあるから
下まで下りてきてやってたので、
自分の部屋の前から話し声と物音がすることを不審に思ったのか、
気がつくと103号室に住んでる若い女性が
ドアから顔を出してこちらを窺っていた。
慌てて
「いやなんか水道の元栓締められちゃって……
すみませんうるさくて……」
と説明すると
「大変ですね、大丈夫ですか?」と
声をかけてくれたしそのまま部屋に戻ってくれたけど
これ私が男だったら通報されてたかもな~と
冷や汗をかきつつなんとか元栓を回して自宅に戻り、
水道を捻ると水が出たので胸を撫で下ろした。
こんなイタズラするなんて
なにが目的?腹立つし気持ち悪いな~とだけ
思ってその時は終わった。
数年後、ネットで
「水道の元栓やガスのメーターって外にあるから、
それを弄ってガスや水道を使えなくして
家主が様子を見ようと外に出たところを襲う犯罪の手口がある」
という情報を知った時が修羅場だった。
もしかしたら
近くに水道の元栓を締めた犯人が潜んでいたけど、
私が電話しながら出てきたから襲わなかったのでは?
様子を伺いに顔を出した女性も巻き込まれてたかも……
と思うとゾッとした。
未だに女の一人暮らしは変わらないので、
今後夜にそういうことがあっても
明るくなるまでは家を出て確かめるのはやめようと思う。
引用元: ・今までにあった修羅場を語れ【その28】